事前準備こそがすべて!取材・インタビュー記事制作前に必要な準備一覧

取材・インタビュー記事は、採用広報や導入事例(お客様の声)など、売上・採用・ブランディングに貢献するマーケティングツールとして昨今注目を集めています。
しかし、実際に取材記事制作を外注しようとすると、
「記事制作の外注先にどんな情報を伝えておけば良いのか」
「取材当日までに準備することは何があるのか」
「社内の誰に声をかけるべきか」
といった疑問が山積みとなり、依頼に踏み切れない企業も少なくありません。
そこで本記事では、取材・インタビュー記事の制作を検討している企業担当者が、
取材・インタビューの実施前に準備しておくべきポイントを中心に解説します。
さらに、
- 取材相手の選定
- 目的やゴールの設定
- 当日までの準備しておくべき資料や段取り
など、依頼側・受託側の双方に必要な準備を網羅的に紹介します。
取材記事の制作依頼から取材、取材後までの過程をスムーズに進めるためにも、ぜひ最後までご覧ください。

・取材記事制作を作るうえでの不安が払拭された
・この資料で外注に反対の上司を説得できた
そもそも、なぜインタビューの事前準備が重要なのか

取材・インタビュー記事が求めている結果を出せるか否かは「事前準備の質」にかかっていると言っても過言ではありません。
事前準備の段階で多くの課題を解消しておくことで、最終的な記事の質が大きく上がるのです。
具体的には、事前準備の徹底には以下のメリットがあります。
1.求める情報を確実に引き出せる
事前にゴールや聞きたいことを整理しておけば、インタビュー当日に質問がブレにくくなり、求める情報を効果的に取材対象者から引き出すことができます。
2.インタビュー相手の協力を得やすくなる
「なぜ取材をするのか」「何を伝えたいのか」といった目的を相手にしっかり共有しておけば、インタビュー相手との信頼関係を構築しやすくなります。質問内容にも納得してもらい、良質なコメントを引き出しやすくなるのです。
3.制作・編集工程もスムーズに進む
事前に情報を整理しておくことで、執筆・編集作業の手戻りが減り、スケジュール通りに公開できる確率が高まります。依頼側と受託側とのやり取りもスムーズに進み、無駄なコストや時間を削減できます。
次に、具体的な準備の内容を紹介していきます。
取材・インタビュー記事制作の検討段階で準備すべきこと
まずは、そもそも取材記事制作をするか否か、もしくは外注するか、内製するかを検討するタイミングで準備・確認すべきことから紹介します。
インタビュー記事の目的・ゴールを明確にする
取材・インタビュー記事と一口に言っても、その種類や目的は多岐にわたります。代表的な例としては、以下のようなものがあります。
- 導入事例インタビュー(お客様の声)
自社製品・サービスを導入している顧客に取材し、その効果や活用方法、満足度を紹介することで新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤルティ向上を狙います。 - 採用インタビュー
現場社員や役員、内定者などに取材し、「入社理由」「仕事のやりがい」「社内文化」などを語ってもらいます。これにより自社の魅力を具体的かつリアルに伝える採用広報コンテンツを作成できます。 - 経営者や有識者への取材
経営者のビジョンや会社の今後の方向性、あるいは専門家による意見・見解をまとめたもの。ブランディングや広報効果を高めることが多いです。
ゴール設定のポイント
コツとしては、記事の種類に適した個別のゴールを設定することです。
たとえば、
導入事例インタビューであれば「このコンテンツを読んだユーザーが製品の導入に前向きになってくれる状態」がゴールになるでしょう。
一方で、採用インタビューであれば「求職者の応募意欲を高める」が目標になります。
よりコンテンツの精度を高めるうえでは、以下のように、より具体的なゴール設定も重要となります。
①具体的に数値化できる目標を設定する
例:お問い合わせフォームへの流入数を月間○件獲得したい
例:採用サイト経由からの求人応募を月◯人獲得したい
②文章や写真を通じて狙いたい感情・印象を明確にする
例:ユーザーに製品への信頼感や共感を抱いてもらう
例:自社の社風や働きやすさをイメージしてもらう
ゴールが明確であればあるほど、記事全体の構成や取材で聞くべき内容が定まり、メディア全体としてブレのない一貫したコンテンツ制作が可能となるのです。
インタビュー相手の選定とスケジュール調整
取材・インタビューにおいて最も重要な要素のひとつが「誰を取材するか」です。
「何を聞くか」と同じか、それ以上に「誰に聞くか」が読者を惹きつけられるか否かを左右します
取材相手の選定を誤ると、どんなに良い取材ができたとしても、そもそもそのサイト・メディアとして掲げていたゴールが達成できません。
取材相手の選定時には、以下のポイントを考慮しましょう。
- 伝えたいテーマに直結する経験や知識があるか
・導入事例であれば、実際に製品・サービスを使って効果を実感している担当者。
・採用インタビューであれば、その会社ならではの魅力や働きがいを本音で語れる社員。 - 取材に協力的な姿勢があるか
時間の都合がつきやすい人、協力を得やすい相手を選ぶとスムーズに進みます。写真の撮影が可能か、人前に話すことに慣れているかといった部分も要確認事項です。 - 社内外で説得力のある立場の人か
・社内の場合:採用インタビューの場合、ターゲットとしている人材の層に近い人物か。
・社外の場合:導入事例取材の場合、自社の商品・サービスを一定期間使ってくれている人物か。
スケジュール調整とアポ取り
取材相手が決まったら、スケジュール調整を行います。特に、導入事例の取材では顧客企業の担当者と調整を進める必要があるため、以下の点に注意しましょう。
- 日程候補の提示
「この期間のうち、○月○日〜○月○日あたりでご都合の良い日時はありますか?」というように複数の候補日を提示するとスムーズです。 - 取材場所やオンライン開催の可否
対面取材の場合は場所の確保が必要です。オンライン取材の場合は使用するツール(Zoom、Google Meetなど)や接続テストなども考慮しましょう。
また、導入事例の取材においては、相手が取材を受けるメリットを提示すると取材許可が得られやすくなります。
「記事が公開されたらSNSでシェアします。当社のSNSはフォロワーが◯◯万人いるので、貴社の認知拡大にも貢献できます。」
「記事内で貴社の事業内容にも触れるため、貴社の強みの訴求にもなります。」
一方、スケジュールやアポ取りは依頼側が主導で進めるケースと受託側が代行するケースがあります。
依頼前にどちらが対応するのかを決めておくことで、責任分担が明確になり、混乱を防げます。
依頼側が取材前に準備しておくべきこと

ここからは、実際にインタビュー記事制作を依頼する側が取材前に準備しておくべき具体的な項目を紹介します。
取材の目的・ゴールの共有資料
繰り返しますが、ゴールと目的はインタビューの軸となる部分です。
「なぜこのインタビューをするのか」
「完成後のコンテンツをどのように活用するのか」
について、受託側(ライターや制作会社)が一目でわかるようにドキュメント化しておきましょう。
- インタビュー記事の想定読者
(例:ITプロダクト導入を検討中の企業担当者、就活中の学生など) - 記事公開場所
(例:自社コーポレートサイト、採用サイト、SNSなど) - インタビュー記事の雰囲気・トーン
(例:ビジネス色を強めに、親しみやすい口調で、専門性を強調する、など)
これらをまとめて共有することで、受託側の取材・執筆方針がブレにくくなるというメリットがありますが、具体的な記事の活用方法については相談に乗ってくれる制作会社やライターもいます。
外注先を選定するうえでは、「どこまでを自社で準備する必要があるか」も重要な判断ポイントの一つです。
事前質問リスト・構成案
取材で得られる情報を最大限引き出すために、
「どのような話を聞きたいのか」
を事前に整理しておく必要があります。
具体的には、以下の手順を踏むとスムーズです。
- キーワードの洗い出し
ゴールに直結するトピックやユーザーが知りたいキーワードをリストアップする。 - 質問の優先度づけ
取材時間には限りがあるため、「必ず聞きたい内容」「余裕があれば聞きたい内容」に分けて整理しておく。 - 構成案の作成
“導入→背景→解決策→結果→まとめ” という流れのように大枠の構成を用意する。
受託側(ライターや制作会社)から質問リストや構成案を提示してもらう場合もあります。
ちなみに、私たちテキスパートでは多くの場合、お客様に代わって質問リストや記事の構成案を作成させていただきます。
いずれの場合においても、依頼側が「ここは必ず盛り込みたい!」という内容を先に伝えておくと、当日の取材がよりスムーズに進行するでしょう。
参考資料や社内外の情報共有
取材がスムーズに進むよう、以下のような情報があれば、事前に外注先に共有しておきましょう。
- 製品・サービスのパンフレット、概要資料
- 過去の広報資料やプレスリリース
- これまでのユーザー事例
- 企業の沿革や歴史がわかる社史・会社案内
- 関係者が発信しているSNS投稿、インタビュー記事
また、社内の場合は「どの部署の誰が何を把握しているか」、社外の場合は「顧客企業の連絡先や担当者情報」など、キーマンとなる人物や部署の情報もまとめておくと、後で調整が必要になった際にスムーズです。
権利関係や承諾確認のルール
導入事例インタビューの場合は、顧客企業への掲載許諾や内容確認のフローが必ず発生します。採用インタビューも同様にインタビュー後の本人確認や掲載許可は必須です。
本格的に制作に入る前に、承認フローや注意点などを洗い出し、依頼時に外注先に共有しておくと安心です。
- 引用や写真利用に関する許可の範囲
どこまで画像やロゴを使っていいのか、著作権に注意が必要なコンテンツはあるか - 公開前の確認フロー
原稿の確認担当者は誰か、どの段階で内容を確定させるか - 修正回数や方法
何度まで修正可能か、追加料金が発生する場合のルール
権利関係のトラブルを後々起こさないよう、業務委託契約や秘密保持契約の契約書フォーマットを事前に作っておくことも重要です。
自社で契約書のフォーマットを作ることが難しければ、外注先の方でフォーマットの用意がないか確認します。
制作側(受託側)が取材前に準備しておくべきこと

ここまでは依頼する側がすべき事前準備内容を紹介してきました。
一方で、個人のライターや制作会社など、受託側もスムーズなインタビューのために事前準備が欠かせません。
依頼側の立場としては、外注先がこれから紹介するポイントを抜け漏れなく準備できる体制を整えているかを確認し、依頼可否の判断材料としてください。
取材対象者(インタビュイー)に関する徹底的なリサーチ
取材対象者のことを知り尽くすレベルでの事前のリサーチが、当日の取材に深みをもたらします。
書籍を出している方であればすべて読み込み、SNSを運用している方であれば過去の投稿にまで遡って目を通し、考え方や趣味嗜好などをインプットします。
取材対象者個人だけでなく、その人が属する企業の業界事情や競合他社の動向なども調べておくと、質問がさらに広がります。
徹底的なリサーチは
「私はあなた(取材対象者)にとても興味を持っています」
ということを伝える、何よりのアピールです。
インタビュアーが自分に対し心からの興味を持って取材に臨んでくれていることがわかれば、心を開いて他所では話したことのないエピソードが聞けるかもしれません。
制作スケジュールの策定と依頼側への共有
取材・インタビュー記事制作は大まかに以下の流れで進行します。
事前打合せ→日程調整→質問票・記事構成作成→取材→記事執筆→初稿納品→修正・変更対応→完成→公開
各日程で必要な日数を算出し、依頼側が定める納期に記事を納品できるよう、スケジュールを組みます。
スケジュールが確定し次第、次にそれを制作チームのメンバー(ディレクター、ライター、カメラマン等)に共有します。
依頼側としては、
- スケジュールは現実的か
- 依頼側の負担(日程調整や記事のチェックなど)の大きいスケジュールが組まれていないか
- 不測の事態を想定してある程度余裕をもたせたスケジュールが組まれているか
を確認するようにしてください。
取材記事の質は準備にかかっている

取材記事の効果を最大化するには、依頼側・受託側が互いに十分な事前準備を行うことが不可欠です。
最後に、依頼側・受託側(ライターや制作会社)に求められる事前準備をまとめます。
【取材記事制作の検討段階で必要な準備】
- 目的とゴールの設定
- 取材対象者の選定
【依頼側がすべき取材・インタビュー前準備】
- 外注先(受託側)への目的とゴールの共有
- 質問票や記事構成案の作成 ※
- 参考情報の外注先への共有
- 取材対象者との権利関係や公開承諾の確認
※外注先が行う場合も有り
【受託側(外注先)がすべき取材・インタビュー前準備】
- 取材対象者に関する徹底的なリサーチ
- 制作スケジュールの作成と共有
- 質問票の作成
上記の準備が滞りなく行われていれば、質の高い取材コンテンツが出来上がるはずです。

・取材記事制作を作るうえでの不安が払拭された
・この資料で外注に反対の上司を説得できた