自社の採用サイトに社員の声を載せたり、「導入事例」ページにお客様の声を載せたりするといった形で、取材コンテンツの制作を検討している方、
「初めての取材でどう話を引き出せばいいかわからない」
「取材はできてもそれを面白い記事にできるか不安」
といったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
「取材」と聞くと、「あらかじめ考えてきた質問をぶつけて、答えを引き出す作業」と思われがちですが、その本質は”コミュニケーション”です。インタビュイー(取材対象者)の本音や魅力的なエピソードを自然に引き出すためには、インタビュアー側にも工夫と姿勢、テクニックが求められます。
そこで今回は、取材がよりスムーズに進み、”深い”コミュニケーションを実現するための「取材のコツ」をご紹介します。
前述の通り、取材はあらかじめ作っておいた質問リストに書かれていることを聞いて終わりではありません。事前に決まった質問を一問一答で聞いて、回答に対する深堀りもしないまま取材が進行することは、何よりインタビュイーを”萎えさせます”。
「この人は本当は自分に興味を持っていないんだ」
「仕事だから質問しているんだけなんだ」
もちろん、趣味で運営しているオウンドメディアやYouTubeチャンネルなどでない限り、取材が仕事であることは否定できません。
しかし、相手も人間です。「仕事感」があまりに出すぎてしまうと、心の奥底にある本音や面白いエピソードを話したいと思わないでしょう。
取材中は、それぞれの質問をするうえで、
を伝えると、聞かれる側に安心感を与えられます。
たとえば、なんの脈絡もなく、
「普段から運動はしていますか?」
と聞かれたら、「なんでいきなりそんなことを聞くのだろう・・・」と相手は訝しむでしょう。
そこで、
「◯◯さんは普段から健康の重要性についてSNSで発信されていますよね。やはり健康や体型維持のために、普段から運動はされていますか?」
と質問の意図を添えれば、
「あぁ、この人は私の健康への取り組みについて知りたいのだな」
と伝わり、安心して回答することができます。
意図が伝われば、
「運動だけでなく、食事にも気を配っています。たとえば朝食には〜〜〜」
といった形で、求めた以上の回答をしてくれるかもしれません。
取材においては、「聞くべきことを漏れなく聞く」ことも大事です。一方で、取材であることを意識し過ぎても相手との距離が遠くなってしまいます。
あくまで、相手とのコミュニケーションであることを意識して取材に臨んでみてください。
当たり前ですが、素性が一切わからない初対面の人に自分の胸の内をさらけ出そうとは思わないはずです。上述の通り、取材の本質はコミュニケーション。
「質問する側」と「質問される側」のように、役割をはっきり分けず、質問する側もある程度の自己開示を行い、人となりを相手に知ってもらう努力をすべきです。
自己開示を目的に、私たちテキスパートは取材対象者に対し、インタビュアーのプロフィールシートをお送りしています。
プロフィールシートにはインタビュアーの名前や性別といった基本情報から、経歴や趣味など、人となりが伝わる情報も書かれています。取材対象者がシートを見て、共通の趣味が見つかったら、そこで話が盛り上がりより良い取材になるかもしれません。
取材の現場でも適度な自己開示を意識します。取材中、インタビュイーから得られた回答や話題に関連した、インタビュアーの実体験を簡単に共有することで、さらに距離が縮むことも期待できます。
とはいえ、取材の主役はあくまでインタビューです。インタビュアーが延々と自分の話をし続けるのは本来の取材の趣旨から外れてしまいます。
あくまで”適度な”自己開示を意識しましょう。
脱線こそがコミュニケーションであり、取材の醍醐味は脱線にあると言っても過言ではありません。取材は、「あらかじめ聞くこと」や「聞く順番」も決まっていることが多いです。
インタビュアーは限られた時間の中で、「聞くべきことを漏れなく聞く」ことに全神経を集中させます。よって、取材中に会話が脱線し、元々予定してた流れが崩れると
「軌道修正しなきゃ」
と慌ててしまうかもしれません。
しかし、実はこの「脱線」が思いも寄らない深い話や興味深いエピソードに繋がることがあるのです。
そもそも、会話が本来の流れから脱線して思わぬ方向に話題が広がるということは、取材対象者がその取材を楽しんでいることの証です。取材を早く終えたい、帰りたいと思っていたら、聞かれたことにだけサッと答えて切り上げてしまえばいいのですから。
よって、会話が脱線することは取材対象者がインタビュアーに心を開いてくれている可能性が高いため、寧ろより面白い回答を得るチャンスと捉えるべきです。
とはいえ、取材には制限時間があります。一般的には30分から1時間程度です。スケジュールや進行に配慮しながらも、せっかく生まれた良い会話の流れを断ち切らないようにしましょう。
繰り返しますが、脱線こそがコミュニケーションです。
取材で重要なのは、相手に「自分のことを理解してもらえている」という安心感を与えることです。
そのために有効な手段が「ミラーリング」と呼ばれるテクニック。相手のテンポや表情に合わせることで、相手の警戒心を解き、打ち解けやすい雰囲気を作ります。
早口の相手にはやや早めのペースで、ゆっくり話す相手にはこちらもゆっくりと。声のトーンや表情、リアクションも意識的に合わせると、インタビュイーに「自分と似ている」という親近感を持ってもらいやすくなります。
当然ですが、ミラーリングを行っていると相手に悟らせないさり気なさも意識してください。
取材は「相手の話を聞き出す場」である一方、「こちらから話しやすい土壌を作る場」でもあります。あくまでコミュニケーションだという意識を忘れず、適度な自己開示や脱線を活用しながら、インタビュイーとの距離を縮めることで、より本質的で魅力的なエピソードを引き出せるはずです。
企業の採用ページやお客様の声ページなど、取材コンテンツを充実させたいと考えている方は、ぜひ今回のテクニックを参考にしてみてください。より深く、鮮度の高い情報を得ることができ、社内外に対する効果的なブランディングにつながるでしょう。