企業の採用サイトや「お客様の声」ページなどに取材記事を掲載する際、
「取材で得られた回答をそのまま文字起こしすればいいのでは」
と思う方が多いかもしれません。
確かに、とにかく記事を公開することを重視するのであれば、それでいいかもしれません。しかし、「読まれる記事を作る」となると話は変わります。取材で得られた情報をそのまま文字に起こすだけでは不十分で、多くの工夫や読者への配慮が求められるのです。せっかく良い取材ができたのであれば、それを漏れなく読者に届けたいはずです。
そこで本記事では、「最後まで読まれる取材記事」を作るためのポイントを紹介します。
取材記事では、インタビュイーの話し言葉や少しくだけた表現に、その人の個性や魅力が表れることがあります。それらをライター判断で全て丁寧な書き言葉に直してしまうと、インタビュイーの言葉に帯びる個性が消えてしまい、無味無臭な記事が出来上がってしまう可能性があります。
読みやすい文章に整えつつも、インタビュイーが持つ個性を消さない編集・ライティングは下記のポイントを意識します。
取材記事においては、読者はインタビュイーから提供される情報だけでなく、その人特有の”キャラクター”にも強い興味を持っています。
記事の掲載先であるメディアのテイストとインタビュイーが元来持つ個性を上手く融合させることこそが、ライターの腕の見せ所と言えます。
取材の現場では、さまざまな話題が飛び出すため、時には脱線もあれば、思わぬ展開へと話が広がることもあります。
私たちテキスパートは、脱線こそ取材の醍醐味であると考えています。寧ろ、脱線からしか得られないインタビュイーの本音や、面白いエピソードがあります。それに、元々組んでいた取材の流れから脱線して、会話が思わぬ方向に進むことは、インタビュイーも取材を楽しんでいることの証拠です。
一方で、当然ながら読者は取材現場にいません。よって、脱線も含めて実際の取材の流れ通りに記事化すると、読者は混乱します。この、インタビュアーと読者の間に存在する情報量の差を埋めていく必要があります。
よって、取材内容に基づき記事を制作するときは、下記のポイントを常に意識します。
会話の内容が元々の流れから大幅に脱線したときは、「話は変わりますが」といったセリフを加えることで、「ここから脱線しますよ」ということを読者に明確に伝えたり、脱線した部分は別途見出しを作ったりといった方法も有効です。
柔軟に構成を組み直すことで、読者にとってより理解しやすく、興味を持ちやすい記事に仕上げられます。
取材の現場で交わされる会話には、その現場にいた当事者同士にしかわからない、ジェスチャーを交えた言葉や、書き言葉にしたときに言葉足らずとなる表現が多分に含まれています。それらをそのまま記事にすると、読者にとっては「?」だらけの文章になる恐れがあるのです。
そこでライターに求められるのは、勇気を持って加筆や変更を加えることです。
現場で交わされた言葉の数々を、読者にも伝わる記事にするために意識するポイントは以下のとおりです。
この「翻訳」作業を丁寧に行うことで、読者がスムーズに理解できる上質な取材記事に仕上げることができます。
ただし、これにはインタビュイーの意図を誤訳してしまうリスクもあります。記事の公開前には必
「このパートはこのように解釈し、このような表現に変更したが問題ないか?」
ということを必ずインタビュイーに確認し、了承を得ましょう。
取材記事は、読者が“その場にいるような臨場感”を味わいつつ、インタビュイーの魅力や本音をしっかり感じ取れる内容が理想です。そのためには、インタビュイーの言葉を大切にしながらも、読者に伝わるように工夫を施すライターの編集力やコミュニケーション力が求められます。
掲載先のメディアのテイストや目指すイメージを踏まえて、必要に応じて”綺麗に整えすぎない”ことや“読者目線での再構成”を意識すれば、より魅力的で読み応えのある取材記事を作り上げられるでしょう。
ぜひ、今回ご紹介したポイントを参考にしながら、読まれる取材記事を作ってみてください。