取材記事を制作するうえで絶対に欠かせないのがインタビュアーです。そして、インタビュアーの力量で記事のクオリティが左右されると言っても過言ではありません。
限られた時間の中でインタビュイー(取材対象者)と密なコミュニケーションを取り、相手の本音や感情を引き出すには、インタビュアーが備えておかなければならないスキル・資質があります。
本記事では、インタビュアーに求められる能力を3つに厳選して紹介します。
「当たり前過ぎる」と思った方もいるかもしれません。しかし、コミュニケーション力こそがインタビュイーに最も欠かせない能力であることは疑いようがないのも事実です。コミュニケーション力こそが、インタビュイーが心地よく話せるように配慮しながら、一つひとつの情報を整理し、記事にして読者に届ける土台を作ります。
そして、コミュニケーション力はこの後紹介する5つの要素にさらに分解できます。
相手が話している内容を的確に捉え、自分の言葉で整理しながら返す能力です。
取材対象が曖昧な、もしくは抽象的な表現を用いたときに、
「◯◯さんが仰りたいことは、つまりこういうことだと思うのですが、私の理解は合っていますか?
と確認・要約することで、スムーズな会話を促進します。
後に取材内容を記事化する際にも、「どのような表現を使えば最も読者に伝わるか」を考えるときにこの言語化力が活きてきます。
すべてのインタビュイーが高い言語化力を持っているとは限りません。むしろ、インタビューを受けることに慣れていない人は、これを苦手とするケースも多いです。
だからといって、意見や想いがないわけではありません。上手く言語化ができず、曖昧で抽象的な表現を使わざるを得ないけれど、うちに秘める想いは複雑で熱いものを持っていることがほとんどです。
そのため、インタビュイーの回答が回りくどいからといって、インタビュアーがあまりに端的に要約し過ぎると、気分を害される可能性があります。
これは、ただ丁寧な言葉遣いを意識すればいいということではありません。
時には言葉を崩してカジュアルな単語を使ってみたり、時には思い切ってタメ口でリアクションをしてみたりといった、臨機応変な対応のことを指します。適切な言葉遣いができると、インタビュイーの警戒心が解け、より深い話を引き出せる可能性が高まります。
あらかじめ用意していた質問リストだけでは、なかなか本音や魅力的なエピソードを引き出すことは難しいものです。相手の回答から新たに生まれる疑問や興味を素早くキャッチし、瞬時に追加の問いを立てる力が、インタビューをさらに面白くします。
読者視点を常に想像し、「読者はこんな話が聞きたいはず」「この部分はもう少し掘り下げたい」と考えながら質問を展開できる能力です。
取材中から記事のゴールをイメージし、会話を導いていくことで、より完成度の高いコンテンツが生まれます。
これは資質や訓練などを必要としない、すべてのインタビュアーが必ず最初に身につけておくべき必須の力です。取材には、インタビュイーのことはすべて調べ尽くしたと言い切れる状態で臨みましょう
インタビュイーがSNSを運用しているのであれば、閲覧できる投稿には過去にまで遡ってすべて目を通し、人となりや考え方を把握します。書籍を出されているような人であれば、一通り目を通しておきましょう。特に相手が取材慣れしている方であればあるほど、このリサーチが重要になります。
なにより、SNSや書籍はもちろんですが、特に過去の取材コンテンツには一言一句読破しておくべきです。「それ、過去の取材で散々話したんだけどな。」と相手に思わせるような質問を避けるためです。
また、インタビュイーについて調べれば調べるほど、単純に「もっとこの方について知りたい」という興味が湧いてきます。その相手への興味はそのまま取材での姿勢に現れるので、よりスムーズで楽しいコミュニケーションが可能になるでしょう。
一言で「教養」と言っても定義はさまざまで、最も身につけるのが難しい素養と言えます。本記事では、教養を「あらゆるジャンルのトークに対応できる知識量」と定義します。
取材が進む中で、その取材のテーマとは直接関係のない話題に触れることも珍しくありません。そうした場合にもある程度対応できる教養、つまり知識量や情報感度がインタビュアーには求められます。
「この前こんなニュースがありましたよね」
「今◯◯がトレンドですよね」
など、相手から突然、雑談的に話題を振られることも想定されます。
そうした話題に全くついていけないと、インタビュイーは話を腰を折られた気がして、会話する気が失せてしまうでしょう。より端的に言うと、”萎えて”しまいます。
取材のテーマだけでなく、時事ネタや他業界のトレンドにもアンテナを張り、日頃からインプットを欠かさないよう意識しましょう。そういう意味では、取材準備は取材の直前ではなく、日常生活から始まっているとも言えます。
最も言語化が難しい能力と言ってもいいかもしれません。
見た目や笑顔の作り方、相槌の打ち方など、一つひとつ言語化すれば愛嬌を構成する要素は様々あります。
しかし、”誰にでも愛嬌を身につけられる方法”を一つ挙げるとするならば、「相手に対して心からの興味を持つこと」でしょう。
相手に心からの興味を持てば、それはわかりやすく表に出ます。相手の話を聞くときの目はキラキラしてくるでしょうし、自然とリアクションも大きくなり、色々な質問が思いつくはずです。
人は、「自分に対して興味を抱いてくれている人」に対して悪い感情を抱きません。「もっと教えてあげたい」と多くの人が思います。
相手から好意的に思ってもらうためにも、まずはインタビュアー自身が相手に対して興味を持ちましょう。
インタビュアーに求められる能力は多岐にわたりますが、共通しているのは「相手の話を受け止めつつ、魅力を引き出す」ことに尽きます。コミュニケーション力、教養、愛嬌──これらを総合的に磨いていくことで、インタビューの場がより豊かな情報交換の場となり、読者にも伝わる魅力的な記事へと仕上がっていきます。
その意味で、インタビュアーに求められるのは「総合力」です。
どれか一つだけが秀でていても良い取材はできません。本記事でご紹介した3つのスキルを日頃から満遍なく磨き、読者を惹きつける記事を作れるようになりましょう。