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読者任せにしていませんか?読者を迷子にさせない文章術を解説

ビジネスシーンで使用する文章においては、「読者を迷子にさせない」ということが非常に大切です。テキスパートでは、読者によって解釈が異なってしまう文章を「読者を迷子にさせない」と定義しています。無意識のうちにやってしまいがちなことなので、世の中には読者を迷子にさせる文章が多くあります。

今回の記事では、「読者を迷子にさせない文章」について解説した上で、要素を分解して具体例を交えて解説していきます。

読者を迷子にさせない文章とは

まず、文章を読んでいる読者が迷子の状態とは、文章を読んでいる中で、

「文章の意味がストレートに理解できない」
「この解釈で合っているよね…?」

と不安になってしまう状態のことを指します。もう少し説明すると、同じ文章を読んでいるにもかかわらず、読み手によって、解釈・判断・受け取り方が異なってしまう状態を指します。

誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
もちろん、映画や小説などの創作物は、解釈はあえて読者に任せる、というのが醍醐味の場合も多いため、問題ありません。

しかし、企業が制作する「導入事例・社員インタビュー・イベントレポート」などの取材記事は、「誰が呼んでも、同じレベル・同じ意味で、訴求ポイントを受け取ることができる」ことが必須となります。そうでなければ、読者の購買意欲を高めたり、求職者の応募意欲を高めたりするという記事の目的を正しく果たせなくなってしまいます。

この「誰が呼んでも、同じレベル・同じ意味で、訴求ポイントを受け取ることができる」ということが「読者を迷子にさせない文章」であり、意味の解釈・判断を読者任せにしてしまう文章はNGということです。

悪い例と改善案

それでは、読者を迷子にさせてしまう文章の例と、それぞれに対する改善案を解説していきます。

悪い例

カテゴリごとに分けて解説していきます。

語尾

断定せずに曖昧な印象を与えてしまう恐れのある語尾は使用すべきではありません。
例えば下記のような語尾です。

〜なのかもしれません。
〜だそうです。
〜らしいです。

そもそも事実関係が曖昧な内容は記載すべきではなく、読者に不信感を与えてしまいます。

言葉足らず

主語や目的語の記載がない場合、言葉足らずな文章になってしまい、読者に正しい意図が伝わりません。

導入してから、改善しました。誰が何を導入し、何がどう改善したのか不明
課題がありましたが、解決できました。誰のどんな課題を、何で解決したのか不明
すぐ対応してくれたので、助かりました。誰が何に対してどんな対応し、何がどう助かったのか不明
導入前より伸びました。何が伸びたのかが不明
データをまとめ、活用しています。どのデータを誰が、何の目的で、どう活用したのか不明

曖昧な表現

「大丈夫」「しっかり」「スムーズ」など、曖昧かつ便利で使ってしまいがちな表現は、読者に正しい意図が伝わりません。

導入はスムーズでした。期間・停止時間・手順の具体がない
価格も良心的でした。総額/月額/比較対象が不明
サポートがしっかりしていて安心です。初動時間/対応チャネル/実績が不明
使い勝手が良いです。どの機能が誰にとって良いのか、評価軸がない
トラブルもなく、大丈夫でした。「大丈夫」は肯定/否定どちらにも取れるため誤解のもと

結論がない文章

結論がない文章も意外と書いてしまいがちな表現です。

当社は顧客情報の分散が課題でした。候補を比較検討し、最終的にクラウド型CRMを導入しました。社内説明会も複数回実施しました。導入の結果(KPIや効果)がない
営業部ではオンライン商談の体制を整えるため、マニュアルを作成し研修を実施しました。研修の成果(成約率・商談化率・習熟度など)がない
今回のツールはUIが分かりやすく、社内でも好評です。管理画面のカスタマイズも可能です“だから何が良くなったか”(作業時間短縮・ミス削減等)がない
長年の課題への取り組みがようやく形になってきたと思います。定量・定性の到達点がない
今後はさらにデジタル化を進めていきます。現時点の結論や次の具体的マイルストーンがない

改善例

先述した具体例に対して、それぞれ改善案を記載します。

言葉足らず

悪い例:「導入してから、改善しました。」
改善例:「〇〇システムを導入した結果、見込み客による問い合わせまでの時間は8時間→1.5時間(−81%)、月間対応件数は300→450件(+50%)に改善しました。」

悪い例:「課題がありましたが、解決できました。」
改善例:「営業部で見積の重複が月20件発生しているという課題に対し、見積の一元管理ソフトである〇〇システムを導入しました。導入3か月で早くも重複が0件になるという成果が得られました。」

悪い例:「すぐ対応してくれたので、助かりました。」
改善例:「イレギュラーなトラブル発生時にはA社が当日中に対応してくださいました。そのため、業務停止は最大45分までに抑えられています。」

悪い例:「導入前より伸びました。」
改善例:「MAツールである〇〇を導入したことにより、月間商談数は40→60(+50%)に増やすことができました。」

曖昧な表現

悪い例:「導入はスムーズでした。」
改善例:「キックオフから実際の導入まではわずか4週間と、非常にスムーズに導入できました。」

悪い例:「サポートがしっかりしていて安心です。」
改善例:「サポート体制として、チャット・電話・メールで問い合わせを常に受け付けてくれ、基本的には1営業日以内には返信がくるので安心です。」

悪い例:「使い勝手が良いです。」
改善例:「非IT職でもテンプレートから見積書を3クリックで作成可能できるなど、使い勝手が良いです。」

悪い例:「トラブルもなく、大丈夫でした。」
改善例:「導入後の直近6か月の正常稼働率99.98%、重大インシデントは0件でした。」

結論がない文章

悪い例:「営業部ではオンライン商談の体制を整えるため、マニュアルを作成し研修を実施しました。」
改善例:「営業部ではオンライン商談の体制を整えるため、マニュアルを作成し研修を実施しました。商談準備の平均時間は120分から72分に減少、商談化率は35%から43%へ、成約率も22%から27%へと改善しました。」

悪い例:「今回のツールはUIが分かりやすく、社内でも好評です。管理画面のカスタマイズも可能です。」
改善例:「〇〇ツールでは、見積作成や案件登録といった頻出タスクをショートカット設定できます。そのため、見積作成時間は15分から5分に、入力ミス率は2.3%から0.6%へと低下しました。」

悪い例:「長年の課題への取り組みがようやく形になってきたと思います。」
改善例:「問い合わせ対応の遅延が長期化しているという課題がありました。〇〇を導入し、テンプレート自動返信、週次レビューミーティングを組み合わせた運用へ切り替えたところ、初回反応は24時間から2時間に、解決までの平均日数は3.5日から1.8日に短縮、顧客満足度も4.1から4.5へ向上しました。」

悪い例:「今後はさらにデジタル化を進めていきます。」
改善例:「今後は返品率を2025年Q4までに1.5%未満、2026年Q1に海外倉庫の稼働を目標とし、返品率と在庫管理数を月次でレビューしながら達成に向けて進めています。」

はっきりと意思表示する文章を心がけよう

今回は「読者を迷子にさせない文章を書く」ということについて解説しました。無意識のうちにNG例のような文章を書いてしまうことは多々あるので、ぜひ意識的に「迷子にさせない文章」を心がけてください。

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