取材記事においては、各見出しで訴求ポイントを明確にすることが大切です。この記事では、導入事例記事を例として取り上げ、「各見出しで訴求ポイントが明確」という点について深掘りして解説していきます。
もちろん、この解説は導入事例記事だけではなく、採用向け社員インタビュー記事やイベントレポート記事などでも共通している考え方です。
そもそも導入事例記事を制作する目的は、「自社サービスを正しく導入し、狙った成果を出せていることを第三者目線で証明する」ことです。そのため、記事全体を通じて、インタビュー対象者の事業内容に絡めて、自社サービスの訴求ポイントを押し出していく必要があります。
また、読者に対してはシンプルかつ明確にサービスの訴求ポイントを印象付ける方が効果的なため、意味のないセクション・文章を入れないことが大切となります。
テキスパートが考える「良い導入事例記事」の特徴は下記の通りです。
・見出しごとに「この見出しではサービスの〇〇という特徴をを押し出したい」ということが明確な記事構成
→実際のインタビューの流れに沿って見出しを作っていくのではなく、記事を通して訴求したい内容をピックアップし、それに基づいて見出し・記事構成を作成する
・話題のピックアップにこだわる
→インタビュー内容の全内容に触れるのではなく、限られた文字数で最大限の訴求ポイントを読者に伝えられるよう、話題は絞るようにする
・複数ある導入事例記事の中で、「全体を通じて協調したいこと」「記事ごとに協調したいこと」を明確にする
→導入事例記事は複数制作することで効果を発揮するため、根幹に据える訴求ポイントと記事ごとにバラエティを持たせる訴求ポイントに分ける
これから導入事例記事における「良い例」と「悪い例」を解説するにあたり、仮の想定インタビューの基本情報と質問・得られた回答を記載していきます。
サービス運営会社:A社
対象サービス:クラウド会計ソフト『スマートクラウド会計』
インタビュー対象者:B社(大阪府の車部品卸し製造業)
導入した背景:
経理担当の部長が退職するのをきっかけに、他の社員でも簡単に経理作業を行う方法がないかと思い、知人に紹介してもらった。
取材対象者の事業内容
大阪で車メーカーに部品を卸す町工場を50年以上経営している。安定した卸し先がある。ネジや留め具といった細かい部品からドア部品などの大きいパーツまでさまざまな製品を製造している。一つひとつを職人の手作業によって丁寧に製造し、どこにも真似できない長年の技術が蓄積されており、取引先からの信頼は厚い。
本サービスを導入したきっかけ・経緯
昔ながらの町工場のため、経理作業が紙での管理かつ経理部長が1人で管理していた。経理部長がもうすぐ定年を迎えるため、新しい経理の社員に加えて他の社員でも経理作業ができる環境を整えたかった。知り合いの経営者に相談してみたところ、「クラウドで管理できる会計ソフト」というものがあることを知り、興味を持った。何社か問い合わせをして話を聞いた結果、総合的にA社が良かったので導入した。
本サービスを導入した決め手
問い合わせから連絡をくれるまでのスピードが一番速く、面談したのも一番だった。担当者の方が面談後もこまめに疑問点などはないかどうか聞いてくれ、安心感があった。また、ソフト自体も詳しい知識がなくても直感的に操作でき、個人的には他社よりも操作しやすい印象。価格も予算内であった。一番の決め手はやはり担当者の方の手厚いサポート。
本サービスを導入した感想
とにかく使いやすく、パソコン作業に疎いメンバーでもすぐに慣れることができた。また、税理士とのやりとりもスムーズになり、紙の資料が減ったことによってエコにもなった。複数人でアカウントの権限を分けて操作できるので、社員にも領収書データのアップロードなどを協力してもらうことで、経理作業が全体的に非常にスムーズになったのも嬉しいところ。
あとは、導入後のカスタマーサポートがしっかりしている印象で、操作上でわからないことがあって問い合わせると、すぐに返事が貰えて非常に助かっている。
本サービスのおすすめポイント
操作画面がシンプルでわかりやすく、パソコンが苦手な人でもすぐに使いこなせるところがおすすめ。あとは、担当者の方・カスタマーサポートの方の対応がとても速くて助かる。
本サービスを導入して得られた成果
特定の社員だけではなく、複数の社員で経理作業を分担できるようになり、全体的に作業効率が上がった。また、一般社員にも領収書のアップロードなどの面で協力してもらうことで、さらに効率化されている。一覧で毎月の売上や販管費などを確認できるため、常に正確な数字を把握できるのも助かっている。
本サービスに今後期待したいこと
基本的には使いやすいが、機能が多いので全部を使いこなせている自信はない。ひょっとしたら、知らないだけでもっと効率化できる操作などがあるかもしれないので、そういうのをアドバイスしてくれる機会がたまにあると助かる。
事業内容の今後の展望
安定した取引先はもちろんだが、将来のことを見据えると他分野での新規取引先開拓も考えたい。仮に営業活動が上手くいって他分野で取引先が増えると経理作業がさらに煩雑になると思うので、うまくA社のソフトを活用して乗り切りたい。具体的には3年後に年商ベースで1.5倍、5年後には2倍を目指したいと思っている。
タイトル:
経理作業の負担が大幅減!他分野での事業拡大を狙う老舗町工場
見出し:
見出し①:細かい部品から大きなパーツまで総合的に製造する老舗町工場
見出し②:経理部長の定年を機にクラウド会計ソフトに興味を持つ
見出し③:スピーディーな対応とシンプルな操作性が魅力
見出し④:経理作業が大幅に改善
見出し⑤:パソコンが苦手でもすぐに導入可能
見出し⑥:複数社員での分担で経理作業の負担が大きく減少
見出し⑦:5年後には年商ベースで2倍の売上を目指す
担当者やカスタマーサポートの対応が一番の訴求ポイントにもかかわらず、タイトルでそのことに触れていません。また、後半の「他分野での事業拡大を狙う老舗町工場」はお客様の説明になってしまっており、自社サービスの特徴をプッシュする文章になっていません。
タイトルは文字数が非常に限られているからこそ、端的に「どのような改善があったのか」「その改善の背景にはどんなサービスの特徴があったのか」をバランス良く記載しなければいけません。
・細かい部品から大きなパーツまで総合的に製造する老舗町工場
このセクションは自社サービスの話ではないので修正の優先度は低いのですが、お客様の一番押し出したい特徴は「多種類の製品の製造」ではなく「職人の手技による真似のできない技術」です。
導入事例記事の制作に協力してくれるお客様のアピールを正しく行うためにも、お客様の一番の訴求ポイントを明確に記載するようにしましょう。
・経理部長の定年を機にクラウド会計ソフトに興味を持つ
事実としては間違っていないのですが、サービスの訴求ポイントが一切記載されていません。あくまでも「紙ベースでの経理作業からの脱却」「属人化しない経理作業を目指したい」ということを押し出すことで、『スマートクラウド会計』ではそれらが実現できる、ということを間接的にアピールできます。
・スピーディーな対応とシンプルな操作性が魅力
訴求ポイントとしては間違っていないのですが、一つの見出しには一つの訴求ポイントに絞ることで、読者が理解しやすくなります。
また、後半の「シンプルな操作性」については、他社の会計ソフトでも実現できる可能性が高いため、やはり「担当者のスピーディーな対応」を押し出す方がベターです。
・5年後には年商ベースで2倍の売上を目指す
内容としてはインタビュー対象者であるお客様の「今後の展望」で合っているのですが、その展望に対して『スマートクラウド会計』がどのように関わるのか、ということが分かる見出しにすると、『スマートクラウド会計』がより魅力的に写ります。
・パソコンが苦手でもすぐに導入可能
・複数社員での分担で経理作業の負担が大きく減少
これら2つの見出しについては、他の見出しに記載されている「シンプルな操作性」「経理作業が大幅に改善」などと内容が大きく重複します。他の見出しの調整も必要ですが、記事全体で訴求するポイントを明確に列挙し、それに合わせて見出しを構成することが大切です。それにより、読者にとって過不足のない内容の記事となり、理解を深めてもらうことができます。
また、重複することによって記事全体が冗長となってしまい、途中離脱する読者が多くなってしまう危険もあります。
・経理作業が大幅に改善
こちらも大まかな成果としては間違っていませんが、あまりに抽象的なため、読者の頭の中には残りません。
タイトル:
長年の紙管理からの卒業!経理作業の劇的な改善には担当者の手厚いサポート
見出し:
見出し①:熟練の職人による唯一無二の技術
見出し②:長年の紙ベースでの経理作業の効率化を目指す
見出し③:担当者による素早い対応が安心感に繋がった
見出し④:シンプルな使い勝手で経理作業が劇的に効率化
見出し⑤:アフターサポートで疑問が生まれた際も安心
見出し⑥:『スマートクラウド会計』の伴走のもと、他分野での拡大へ
それぞれの見出しを見ていただくと分かるのですが、「悪い例の解説」で説明した点が解消され、下記のように改善されました。
記事を通じて読者に対して最も訴求したいポイントである「担当者による手厚いサポート」をしっかりとタイトルに組み込んでいます。一目で読者に信頼感をアピールできるタイトルになっています。
各見出しに明確な訴求ポイントを記載することはもちろん、その内容も可能な限り具体的に記載されています。インタビュー内容全体を見た上で訴求ポイントを事前に整理した上で見出しを構成しています。
もちろん、見出しの内容に重複はないため、この後に記載する本文でも重複が起きにくい記事構成となっています。
今回の記事では、見出しごとに訴求ポイントを明確にすることの大切さについて解説しました。逆に言うと、訴求ポイントが抽象的・不明確・重複があるなどの不備がある場合、その記事の効果は半減してしまうということです。取材・インタビューで語られた内容の順番通りに見出しを構成するのではなく、全体を俯瞰した上で過不足のない内容に構成しましょう。
テキスパートでは、取材・インタビューの結果をもとに、訴求ポイントが読者に明確に伝わりやすい構成で記事を制作しております。取材・インタビュー記事の制作をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。